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「旅をするように生きる」NZキャンプライフで学んだこと⑤

未来の国NZから|パラダイムシフトの朝 #10
text&photo by Daisuke Yosumi
Reading Time:3m41s
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キャンプ場は「旅人たちの交差点」みたいな場所だ。
今回はその交差点でのいくつかの出会いのことを書いてみたい。

いよいよ湖畔のキャンプ場での生活開始という日に、若いカップルが発とうとしていて、挨拶にきてくれた。
彼らはドイツからの旅人で、近くの急流で毎日のようにホワイトウォーター・カヤックを楽しんだという。

そこは、世界中からカヤッカーが集まるカヤックの聖地なのだ。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉

オークションサイトにて格安で購入して、自分で改造したというボロボロのバンの後部スペースには、手作りのラックが設置されていて、短い競技用カヤックが2艘、詰め込まれていた。
伸ばしっぱなしのヒゲに肩まで長髪の、ヒッピーのような姿でそのバンを指さしながら、「夢にまで見たカヤック中心の生活なんだ」と誇らしげな顔をする。

かたやぼくの場合はフライフィッシング中心の生活。
目の前の湖は、巨大なニジマスが釣れることで有名なフライフィッシングのメッカだ。

そして、我がキャンピングトレーラーは当然、釣り道具で満載。

ぼくの髪形はほぼ丸坊主で、彼とは対極のヴィジュアルだけれど、何かにとり憑かれたようなぼくの目と、トレーラーの中身を見て同じニオイを感じたのだろう。
ニヤッとしながら、ぼくに右手を差し出してこう言った。

「俺たちはラッキーだな」

彼らの滞在は3か月間で、当キャンプ場での、その時点での滞在最長記録だったが、後にぼくはその記録を更新することになる。

次の日、テントを積んでひとりの老人がやってきた。

しかもそれは、ぼくが学生時代に愛用していたテントと同じものだった。
人を寄せつけないオーラを放っていたのだが、何日か経って数度目の挨拶のタイミングで、思いきって話しかけてみた。

78歳のイギリス人で、若い頃からの夢であった、ニュージーランドでのテント泊ひとり旅がついに実現したという。
ぼくも同じテントを持っていると伝えると、初めて笑顔を見せて「名作だよな」とシワだらけの顔でウィンクしてくれた。

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〈Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

4歳の女の子と一緒に、バンを改造した小さなキャンピングカーで2か月間の旅を続ける家族。
行き先を一切決めず直感だけで先に進みながらストリートで手作りアクセサリーを売るバックパッカー。
半身不随の祖母を連れて、大型のキャンピングカーでの旅を敢行する若い夫婦。
大会を転々とする孤高のマウンテンバイカー。
親に内緒でこっそりやってきたというオーストラリアの高校生カップル。

数か月の間に数え切れないくらいたくさんの旅人たちと遭遇した。

彼らはいつも「非日常的な刺激の風」をぼくらにもたらしてくれた。

不便だけれど、キャンプライフ特有の「圧倒的な自由感」の虜になってしまったネイチャートラベラーたち。
そんな究極の自由人たちとの、眼があった瞬間に、言葉や人種の壁を超えてお互いを同志として認め合う、あのたまらなく心地よい瞬間をぼくは、一生忘れないだろう。


ソトコト紙面

本記事は、エコ&ソーシャル誌「ソトコト」2013.02号掲載の連載「未来の国ニュージーランドから〜ノマディズム宣言10」に加筆修正を加えた完全版です。
(当サイト掲載|2016年4月09日)

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