「真の自由、真の独立」とは。クリエイティブな未来へ
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ニュージーランド移住の夢を抱いたのは学生の頃。
「大好きなフライフィッシング(釣り)をきわめたい」という子供のような動機が、最初の理由だった。
しかし、その後、各地の川や湖、森や海で加速する自然破壊を直視するにつれ、何とかしなければという想いを抱くようになり、「自分自身で具体的な行動に移し、その体験を発信したい」という気持ちが強まってきた。
それがいつの間にか、「持続可能なだけでなく、創造的な〝森の生活〟がしたい」という夢に変貌していた。
移住が実現したのは2010年1月、今から約6年半前のこと(2016年現在)。実現まで15年以上かかったことになる。
移住直後の約半年に渡るキャンプ場生活のあと、原生林に囲まれ、湧き水でできた湖のほとりに、湖水を飲料水とする一軒家を確保。
いまでは、湖や海で釣る多様な魚や、森のハーブ、家庭菜園でつくる有機野菜やフルーツで食の大半をまかなえるように。
次にエネルギー自給をめざし、ネットや書籍、研究会などで勉強も重ねた。
すると、「ソーラーパネルと再利用バッテリーの複合システム」「低温水発電」「R水素」「小水力発電」などの家庭向けの小規模な発電システムに関する情報が集まるようになった。
電力会社や送電線から自由になれる「オフグリッド」の状態を、数十万から数百万円の投資で手に入れられることも知った。

〈Photo. Hirokazu Sugiyama〉
ニュージーランドにある、ひとりの日本人がデザインしたエコハウスでは、排泄物バイオガスと風力で発電し、庭で野菜と果物を育てながら、20年以上、自給生活が続けられていた。
昔は、こんな話をすると「世捨て人」だとか、「ヒッピー」だと言われた。
たしかに当時、周りには、法や社会すべてを否定したり、自堕落になったりする人もいた。
だが今は違う。
彼らの多くは健全でクリエイティブだ。
ネットやリアルを通して、ちゃんと社会と関わり、より有機的で創造的なライフスタイル、世界をデザインしようとしている。
ここ数年、そんな世界各地の同志たちや、続々と登場する倫理にもかなった新しいテクノロジーに出会えるようになり、「もしかしたら何とかなるかもしれない」と、地球の未来に希望を抱けるようになってきた。
そして、ぼくら個人が〝真の自由〟を手に入れる唯一の方法は、今世界中で起きている、一握りの巨大企業による「水・食糧・エネルギーの寡占」から距離を置き、ゆくゆくは独立することだと、より確信できるようになってきたのである。
