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#04 ある釣りを推奨する環境大国

未来の国NZからパラダイムシフトの朝
Words by Daisuke YOSUMI
Reading Time:4m44s
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ニュージーランドでの釣り事情

「ヒット・プロデューサーの地位を捨てて、なぜニュージーランド?」これまで何度も受けた質問だ。

幼少期からずっと、どんなことよりも夢中になれた魚釣り。大学生になり、〝究極の釣り〟と言われる「フライフィッシング」に傾倒。

哲学的かつ自然科学的な奥深さがあり、芸術的なほど美しいこのフライフィッシングを極めるためなら、「トラウトバム(放浪の釣り人)」になってもいいとまで覚悟した頃、「フライフィッシングを国策として推奨している国がある」という情報を入手する。

それがニュージーランドだった。
「どうせトラウトバム生活を送るならば、そんな国がいい!」とさらに調べてみると、多くの魅惑的な情報が飛び込んできた。広大な原生林、綺麗な川や海、とんでもなく透明な水をたたえるたくさんの湖の存在だ。

迷わず、その地の水際に暮らしたいと決意。

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釣り人憧れの大物ニジマス。これが平均サイズ。

「釣りが理由!?」と嘲笑されるが、本気だ。
この国をもっと知りたいと、さらに15年以上かけて研究を続けると、「エコ大国」「オーガニック天国」「サスティナブルな社会構造」「クリエイティブな教育システム」といった、ぼくをさらに夢中にさせるコンテンツが満載の国だと、次々に判明してゆく。

知れば知るほど、ぼくはこの国のことが好きになっていったのだ。

それは〝人生の答え合わせ〟のような、とても不思議な体験だった。夢が叶い、ニュージーランド湖畔でのフィッシングライフも6年目(2015現在)。

街にはたくさんのマスのオブジェやマスがデザインされた公共物が。

ここでは、国から委託を受けた「Fish & Game」という非営利団体が、内水面全域(淡水域の湖沼や河川)を管理している。

生態系保全のため、内水面ではエサ釣りは全面禁止、淡水域で釣りが許されているのは、もっとも魚に対してフェアな釣り方とされるフライフィッシングのみ(一部エリアはルアーもOK)。
水質、魚の数やコンディション、水際の環境を常に把握し、守ろうとする彼らの姿勢には脱帽だ。

日本の、川や湖ごとに1日あたり1,000円から数1,000円を支払わないといけない「入漁料」システムとは違い、「Fish & Game」が発行する全国共通のフィッシングライセンスを購入すれば、誰でも、どこでも釣りができる(一部の先住民マオリ所有エリアを除く)。しかも、その年間券の値段はたったの123ニュージーランドドル(約9400円)だ(2015年現在)。

フライフィッシング発祥の欧州では元々、釣りが貴族のスポーツであったこともあり、今でも一級ポイントで釣りをできるのは一部の特権階級か、高価な入漁料を払える富裕層だけ。

またアメリカ、オーストラリア、ユーラシアなどの大陸と違い、ここにはワニ、蛇、熊、狼などの危険な動物がいないため、どんなに森深く入っていっても、人を襲うのは小さなブヨか蚊だけだ。社会システムだけでなく、自然形態も、世界有数の釣り天国なのだ。

ぼくにとってはまさに奇跡の国。

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湖沼によってルールが違う。これは、調査目的で放流されたマスの情報収集の協力を呼びかける公共看板。

この国のあり方を象徴していると感じるのが、釣り人が環境保全活動をリードし、世論を動かすほどの影響力を持っていることだ。そして、サーファー、トレッカー、野外アスリートたちも熱心に活動をしている。彼らに共通するのは、日常的に自然と触れ合う人種だということ。

常に自然とのつながりを感じながら生きている彼らにとって、環境を大切にするのは、特別なことではなく、ごく当たり前のことなのだ。学校で習ったから、政府の政策だから、といった「頭で考えた環境保全」ではなく、「体で感じたこと」が原動力となり、国を動かすほどの行動につながっているのだ。

そう、ぼくはこんな国に我が人生を捧げてみたかったんだ。

ソトコト紙面

本記事は、エコ&ソーシャル誌「ソトコト」2013年8月号掲載、四角大輔の連載記事Vol.04に加筆修正を加えた完全版です。
(当サイト掲載|2015年9月12日)

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