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/ ARTICLE / メディア連載 / PEAKS 25 Jun 2015

縦走成否のカギは“睡眠”にあり

クリエイティブ登山思考|すべては長く歩くために #03
Words by Daisuke YOSUMI
Reading Time:5m25s
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睡眠は、“明日の始まり”

安眠するには決していい環境とは言い難い、大自然のなかで数日間を過ごすテント泊の山の旅では、「睡眠」の質が踏破の成否に直結する。

ぼくは、睡眠を「今日の締めくくり」ではなく「明日の始まり」と捉えている。
朝型の僕は、山ではもちろん、街でも早寝早起き。

理由はシンプル。体と心の両方にいいからだ。早起きにはたくさんのメリットがあり、デメリットはひとつもない。

ましてや、険しい山中で質の高い睡眠を得られた翌日の山歩きは、至高の体験となることは言うまでもない。

人間の生体活動と精神活動には「根源的リズム」ともいえる体内時計がある。

それは200万年前の石器時代から人類のDNAに刻みこまれたもので、肉体も精神もこれには抗えない構造になっているのだ。

電球の登場はわずか130年ほど前。
太古から続く野外生活により、人間の体内時計は日の出から日の入りまでの太陽の日周リズムと同期している。

まさに地球の上で太陽とともに暮らす、とても合理的でシンプルな原理だ。

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安眠セット①。サーマレスト「ネオエアー」(レギュラー・410g)と、モンベル「ULコンフォートシステムピロー」(70g)。両方とも少し空気を抜き、自分の体と頭に合うようにしている。地面からの冷気を抑えるために、マットレス下には「SOLヒートシートサバイバルブランケット」(70g)を敷く。※2015年現在、より軽量のサーマレスト「ネオエアーXLite」(レギュラー・350g)を愛用。

体内時計のリセットは、太陽光で

文明が発達し、都市が不夜城となってから、我々の体内時計は狂いがちになってしまった。

しかし、朝の太陽光を浴びるとセロトニンという物質が分泌され、自律神経が自動的に「交感神経=活動モード」に移行する。

狂った体内時計がリセットされ、朝から能力をフル稼働できるようになるのだ。
さらに日光浴をすることで、体は骨を作るために必須のビタミンDを生み出すのだ。

人間の集中力も創造力も午前中にピークを迎え、精神も安定する。

そして日没後、太陽光が弱まるとメラトニンの分泌が始まり、集中力は下がり、自律神経が「副交感神経=休息モード」になる。

つまり、活動力も脳力も低下してゆくのだ。
「夜に考え込んではいけない」「深夜の残業は効率が悪い」といわれる所以はここにある。

この揺るぎようのない生理学的事実を体感している作家やアーティスト多くは、人間の〝活動ゴールデンタイム〟である午前中を創作時間に充てている。

根源的リズムには、夜10〜午前2時におとずれる〝睡眠ゴールデンタイム〟と呼ばれるものもある。
この時間帯に、もっとも深い眠りである最初のノンレム睡眠がおとずれる。

このあいだに、疲労回復、免疫力アップ、皮膚・筋肉・骨の再合成などの働きをし、登山で酷使した体にとっては必須の成長ホルモンが大量に分泌される。

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安眠セット②。いま、いちばんのお気に入りの山寝間着は、マーモット「アドバンスドウール」。 メリノウールと化学繊維混紡の絶妙な肌触りに夢中。軽量で、保温力、速乾性も優れている。※2015年現在、より保温力が高いメリノウールと発熱素材のハイブリッドアンダーの、ミズノ社「ブレスサーモ・ウールヘビーウェイト」を愛用(上下393g)。

 

 空腹が自らの抵抗力を高める

さらに、寝ているあいだの人間は一時的に断食状態となる。

胃が空の状態になると、病原菌などを死滅させるべく、体は自らの抵抗力と免疫力を高めるのだ。

これは200万年間の飢餓の歴史において身につけてきた生き抜くための本能ともいえる。だから朝食は英語で「Break(やめる)fast(断食)」なのだ。

寝る直前の食糧摂取は、この人間の貴重な能力を放棄することになる。
人類史上、飽食の時代はこの数十年くらいのことで、体は過食への対応がまったくできない構造になっている。

食べ過ぎは「毒」を体に入れることと同義で、現代の悪しき食生活の結果が成人病という社会問題の原因となっているのは有名な話。

街ではもちろん、「山での夕食もなるべく早い時間に」が鉄則だ。

当然、山での安眠ギアにも妥協をしてはいけない。

ぼくの場合、テント場に着いたら、ブリーフ以外の行動着はすべて脱ぎ、肌触りがいいメリノウールの上下アンダーに身体を滑り込ませる。

マットレスは膨らませるとかなりの厚みとなるものを愛用しているし(サーマレスト社の超軽量インフレータブル)、贅沢にも枕まで使っている(モンベル社の超軽量インフレータブル)。

睡眠の原理を理解し、意識することが日常生活だけでなく登山のアップグレードにもつながるのだ。

PEAKS紙面

本記事は、月刊「PEAKS」2012年6月号掲載の連載「クリエイティブ登山思考|すべては長く歩くために」03の完全版です。
(当サイト掲載|2015年5月25日)

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