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半自給自足の生活も創意工夫とITで豊かに

土曜朝刊(全国版)be|持続可能な未来創造#02
Words by Daisuke YOSUMI
Reading Time:2m16s
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「豊かさ」ってなんだろう?

ニュージーランドの我が家は水道がなく、飲料用の水は湖水だ。

目の前の湖では鮭のようなニジマスを、近くの海でタイやヒラマサなど多種多様な野生魚を釣り、自らの手でさばく。
庭で育てた無農薬の野菜と果物、そして家を取り囲む原生林に自生するハーブやキノコが食卓を飾る。

そんな自然とともに生きる半自給自足の生活は、体力を要するし、不便なことが多い。

しかし、「お金があまり必要でなくなる」という〝身軽さ〟を手にできる上に、日々の創意工夫や努力が生活に〝本当の豊かさ〟をもたらしてくれる。

大都会で音楽業界というクリエイティブの最前線で働いていたころよりも今の方が、ぼくのクリエイティビティも独創性も高まっている。

自宅庭の菜園

自宅庭の菜園

 

「モノやお金」のためだけに生きる?

ただ、こういった〝森の生活〟は、これまでの価値観では「隠居的」とされ、文明的な豊かさはないとされてきた。

日本は、戦争ですべてを失った反動で、物質主義に走り、所有欲を満たすことに価値を見いだしてきた。

自然との共存を放棄し、開発の名のもと環境を破壊して都市化を進め、多くの人々が大都市に憧れた。利便性が高く刺激の多いそこでの生活こそが、発展の象徴だったからだ。

でも時代は変わった。大自然の中に居ながらも、ITを活用することで、いつでも世界中の情報にアクセスできる。ネットで家族や仕事先と密なコミュニケーションをとることも可能だ。

利便性や資本主義と距離を置くように見えるライフスタイルでも、もはや文化度も仕事の質も下げる必要はない。

レコード会社時代から収入は半減したが、自然のすぐそばで生きることで〝人間的な豊かさ〟ははるかに高まった。お金ではない豊かさ、そしてお金を必要としない豊かさ。

創造的でナチュラルな環境にこそ、本当に豊かな暮らしがあると感じるのは、ぼくだけでないはずだ。

自宅で畑仕事に励む四角大輔


本記事は、朝日新聞2013年5月11日号掲載の連載「持続可能な未来創造」02に加筆修正を加えた完全版です。
(当サイト掲載|2015年5月25日)

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