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/ ARTICLE / メディア記事 24 Dec 2016

生命体として美しく生きる

ライフもビューティも、もっと地球のリズムで。
Words by Daisuke YOSUMI
Reading Time:12m1s
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ニュージーランドでの湖とともに生きる、自給自足ベースの森の生活も、はや8年目となる。
生命体として美しく生きるためには〝複数の大きな存在〟と、自分自身を〝同期〟させる必要があると、最近わかってきた。

太陽とのシンクロ。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉

湖畔の森に夜明けがやってきた。

東からの黄金の光が、目の前に広がる湖面を、金属的に輝かせる。
その光は徐々に、湖を取り囲む原生林を神々しく照らしはじめる。

ここで営むのは、日の出とともに活動をはじめ、日没とともに活動をやめる、というシンプルな暮らし。

これは、太古から当たり前のように繰り返されてきた、祖先たちの営み。
人工の灯りによって夜が消えたのは、人類史においてはここ最近のこと。

そんな現代人のぼくらの体にも、その「太陽のリズム」がインストールされたままで残っている。
それに逆らうことは、肉体だけでなく、心をも狂わせてしまうことにつながる。

森の生活では、夜はキャンドルの灯りで就寝までの時間を過ごし、21時すぎにはベッドへ。

これは、肌や内臓をはじめ、全身の細胞を修復してくれる〝睡眠時の再生のゴールデンタイム〟と呼ばれる、22時から2時までの貴重な4時間を味方につけるためでもある。

大地とのシンクロ。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ / 庭の無農薬リンゴがぼくには光り輝いて見える〉

起床後の最初の儀式は、湖の湧き水でのうがいと洗顔。

そして、フェアトレード&有機ココナッツオイルを口にふくんでの、オイルプリング。10分ほどクチュクチュ歯をゆすぐことで、寝ている間に発生した口内雑菌を一掃し、オイルがもつ高濃度の滋養を、舌や歯茎に浸透させる。

そのあと、アーユルヴェーダの教え通り、タンスクレイパーで舌苔を綺麗に落とす。

日本から持ってきた本物の、南部鉄器製の鉄瓶で沸かした、湖水の白湯をゆっくりすすって消化器官を温める。

そうやって目覚めさせた胃袋に浸透させるように、無農薬玄米のとぎ汁を発酵させて作ったリンゴ酵母ジュースを飲み、ロー&オーガニックのマヌカはちみつを口へ。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ / この日の朝のスムージーレシピ。庭の有機ビーツ、森から収穫してきた野生のリンゴ、マルシェで買った無農薬オレンジと減農薬ショウガ〉

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ / 自分で作る100%オーガニックのコールドプレスジュースは宝石だ〉

次は、森で採れた洋梨と庭の無農薬リンゴで、酵素満点のコールドプレスジュースを作る。お腹の調子を見ながら、食物繊維満載のスムージーを作るときもある。どちらにせよ、朝のオーガニックドリンクの材料はフルーツをメインにしている。

そして、自然農法による玄米で造った甘酒をひとくち。

最後は、フェアトレード&オーガニックのコーヒーと有機アーモンドミルクで作るカプチーノで締める。

ぼくは、この行程すべてに3〜4時間かける。
純度の高い、これら「大地からのいただきもの」を、丁寧に少量ずつ、体に溶け込ませてゆく。そんなイメージだ。
そうする理由は2つ。

一つは、肉体への配慮。

朝食は、睡眠という「ファスティング(断食)」明けの、「回復食」に当たる。
ゆえに最初に摂取するものは、できる限りノンケミカルでナチュラルなものだけにしたい。
そして、眠っていた内蔵に大きな負担をかけないよう、できる限り消化にいいものを選び、さらにそれを時間をかけて食してゆく。

もう一つは、脳への配慮。

ぼくは、集中力がもっとも高まる午前中を、執筆などのクリエイティブワークに充てる。
もし大量の食事を一度に摂取すると、胃腸に血液が集中してしまう。
頭に巡る酸素量が減ることによる、脳のパフォーマンス低下を避けたい、ということだ。

つまり、人間の肉体に組み込まれた、〝創造力のゴールデンタイム〟である、午前中を味方につけることがその最大の目的なのである。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ / 有機アーモンドミルクのカプチーノを飲みながらテラスで仕事。もっとも好きな時間のひとつ〉

大気とのシンクロ。

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〈Model. Daisuke Yosumi in NZ / 夜明けと共に行う毎朝恒例のヨガ〉

前述の、ちょうどマヌカハニーを口に入れた後にテラスに出て、朝陽を浴びながら20分ほどの短いヨガを行う。
その時に意識するのは、鼻での深い呼吸。

朝の神聖な大気を、鼻腔を通してゆっくりと肺の奥まで注入し、末端の毛細細胞まで送り届ける。

酸素濃度が高く、マイナスイオンとフィトンチッドに富んだ大気を、周りの深い森が生み出してくれている。
森の生活の一番の喜びは、この高栄養の空気を常に、全身の細胞に提供し続けられることだ。

心とのシンクロ。

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〈Model. Daisuke Yosumi in NZ / 泳いでは湖面に浮かび、泳ぐを繰り返すフリースタイルのレイクスイム。夏は毎日1〜2kmほど泳ぐ〉

肉体のパフォーマンスがもっとも高まる、午後の〝運動のゴールデンタイム〟に備え、お昼ごはんはかなり多めに、一日のカロリーの3分の2を摂る。お腹が空くので、ランチタイムは必然的に11時台となる。

今日のメニューは、5日目の酵素玄米を茶碗2杯、有機大豆で造った味噌と庭の無農薬野菜によるお味噌汁、ボウルいっぱいの無農薬レタスサラダ、自分で釣ってさばいた野生ヒラマサの塩麹焼き。

30分弱のパワーナップを入れた後はガーデニング、そしてこの生活でもっとも大好きなレイクスイムだ。

土と植物と一体化できる畑仕事と、湖を泳ぐ行為は、ぼくにとってはトレーニングであり、メディテーション。

シンプルな動作の繰り返しは、思考を止め、無我の境地をもたらす。
結果、体の中心から発せられる〝小さな心の声〟にも、耳を傾けられるようになる。

自分の心に嘘をつかず、自身の魂を売るような行為はしない。これこそが、生命体としての純度を高めることに直結するのだ。

そして、自身の心の真ん中にアクセスできるようになると必然的に、周りの人たちの価値を認められるようになり、他の生き物や地球と、より真摯に向き合えるようになるのである。

〈Model. Daisuke Yosumi in NZ / 日課のひとつ、植物と大地と向き合うガーデニング。実はかなりの肉体労働で、筋力が自然に鍛えられる〉

地球とのシンクロ。

そして、まだ明るいうちに家で温かい湖水シャワーを浴びて早くも寝る体制に備える。うちでは飲料水も家庭用水もすべて湖水だから、ここにいると肌の調子も最高潮となる。

その後すぐ、夕食の準備にとりかかる。

ディナータイムは通常、5時台と早い。睡眠の質を高めるため、就寝する4時間前には食事を済ませておきたいためだ。

メニューはいつも通り軽めに。
我が命の源である庭の野菜で作ったスープと、グリーンスムージー。
ニュージーランドのビオワインを少しだけ。

これらすべての〝同期作業〟は、「地球のリズムで生きる行為そのもの」と言えるだろう。

食べ物とは、地球にしか創り出せない、もっとも波動の高いエネルギー体(=命)。この奇跡の構成比で存在する成分や栄養素をぼくは、〝究極の芸術〟と呼ぶ。

その大自然アートとも言える「命」を、感謝とともにいただき、地球とシンクロして生きていると、自分自身が生命体として、より純度が高まってゆくのを体感できるようになる。

そうやって、体と心の純度を高めるべく努力し続けることこそが、「生命体として美しく生きる」ことにつながるのではないだろうか。

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〈Photo. Shotaro Kato in NZ〉

月とのシンクロ。

そうしているうちに、自身が「月」とシンクロしはじめるようになってきたのである。

満月の日は、海の満ち引きが大きかったり、風がなかったり、魚が釣れないように、地球は間違いなく月という惑星と同期している。この星に暮らす生命体であるぼくらも、その影響を受けないはずはない。

女性には、月経という女性としての美しい営みが月とシンクロして訪れるが、男性にはないとされる。ところが、ここで長い間、森の生活を送っていると、年に数度、満月の夜にまったく眠れなかったり、新月に日に体が重かったり、半月の頃に執筆がはかどったりするような現象が起きるようになったのだ。

これはある種、〝宇宙とシンクロしている〟ということなのかもしれない。なんと神秘的な体験か。

最後に、この森の生活を通して追求している、ライフテーマ「生命体として美しく生きる」の、真の目的をお話したい。

この世に生を受けて以来ずっと、この星が産み出した莫大な量の「命」を食しながら、地球環境を汚しながら生きてきた。
そんな偉大なる母なる大地と、実の母から授かったこの肉体を、できる限り美しく健全な状態で保ち続け、最期はちゃんと土に還したいのである。

この感覚は、ある時期にぼくの中に生まれ、いつの間にか強い信念としてぼくの中に宿っていた。
このことについては、また改めてここで書いてみたい。

この星の生物の務めとして、土に還せる肉体をデザインし続ける。そんな尊い〝死=地球への返還〟を迎えるために、残りの人生を丁寧に、本気で生きてゆきたいと思う。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ / 自宅テラスから撮影した満月〉

 

本記事は『etRouge』2016.9号掲載の原稿に、本人による大幅な加筆修正がされた最新&完全版です(当HP掲載|2016.12)。

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