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/ ARTICLE / メディア対談 22 Jun 2017

【安藤美冬が迫る、四角大輔の真実④】本当のキャリアデザイン

Words by Daisuke YOSUMI
Reading Time:11m42s
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就活について

安藤
話は変わりますが、最近就活がいろいろ問題になってますね。
大学生らの自殺が年1,000人の大台を遂に超えて、中でも就職先が決まらないことを苦にしたケースが150人まで増加したそうです。大輔さんは、就職についてはどうお考えですか?

四角
音楽業界でいうと、ぼくが尊敬するすごいプロデューサーのほとんどが正規ルートじゃないんだよね。いわゆる有名大学卒で新卒からレコード会社っていうんじゃなくて、ほとんどが、元々バンドマンや保険の営業や、バイトあがりとか。

よく、どうやったら、レコード会社に入れるんですか?プロデューサーになれるんですか?って聞かれるけど、みんな普通にルールに乗っかって新卒で入ることしか考えてない。

本気で音楽業界に入りたいと思っているなら、それこそぼくの「ハガキの仕分け」(前編参照)みたいなバイトから潜り込んで、粘って何とか次に繋げていくってやり方もある。そういう人は集中力とモチベーションが違う。ピックアップされるのは、こういった現場で本気になれて、ちゃんと結果を出せる人。

当時ぼくが目標としてたプロデューサーが4人いたけど、全員「非正規ルート」出身だった。そのうちの一人はビデオテープなどのダビングばかりを一日中するという末端雑務のバイト出身だった。そんな昔に比べても、今は非正規ルートが認められやすい時代になってきたのに、未だに「正規ルートしかない」と思い込んでいる若い人が多いよね。

安藤
私も新卒は正規ルートでしたが、今は全て非正規ルートですよ。

四角
今のミッフィーの仕事を例にとると、皆そこに正規ルートは無いってわかる。
けど、レコード会社、テレビ局、広告代理店の仕事にも正規ルート以外の道ってある。バイト探しの段階から、その非正規ルートという抜け道がどこかにないかという視点を持ってみることが大事だと思う。

安藤
道は一本だけじゃないんだよなぁ。

四角
絶対そう。ぼくが昔、ダビング雑務担当バイトからピックアップした人も、すごく活躍してる。久々に会ったら、アシスタントプロデューサーになってて嬉しかった。

ところで、さっき言ったように、毎日夜中まで働いて、死ぬかもみたいな時期ってミッフィーもなかった?

安藤
ありました、ありました。

四角
でもそういう時期って永遠には続かないよね。
もし、1年以上続いたら、その仕事や自分が置かれた環境を疑ったほうがいいと思うけど。ぼくの場合、その1年間も、365日続いていたわけじゃなくて、波があった。

ぼくのところに相談に来る人の多くが、そんな状態が永遠に続いていくかのように思い込んでしまい、閉塞感に潰されてしまっている人が多い。話しながら、状況を細かくブレークダウンしていくと、そうじゃないってことに気付けるんだけど。

〈Model. Daisuke Yosumi / 道は一本だけじゃない〉

キャリアデザインにこだわりすぎない

四角
学生のみんなと話していてよく感じることなんだけど、キャリアデザインにこだわりすぎないで欲しいって思う。まず、「ライフスタイル」と「ライフテーマ」を大事にしてほしいなって。

幼少期から学生時代は、同調圧力や社会重圧といった世の中の矛盾みたいなものに押しつぶされそうになってたから、そんな世の中を変えたいっていう想いが強かった。社会を変える仕事がしたいと、その時考えていたのが、NHKでドキュメンタリーを創るか学校の先生っていう、二つの選択肢。

安藤
ほう、学校かNHK。

四角
NHKは落ちたので、教員になろうと。でも教壇に立つ前に社会勉強をした方がいいと言われ、内定を貰ったレコード会社にとりあえず就職した。だから、そこでプロデューサーになりたいとも思わなかったし、上のポジションを目指す気は全くなかった。

結局は、どうやったら音楽で世の中を変えていけるんだろうってことを考えてた。そうやって、ずっと自分の原点である「ライフテーマ」を常に考え続けていた。実は、だからこそ音楽の仕事ですごい成果を出せたんじゃないかなって思うんだよね。

だからぼくはキャリアデザインって、考えたことが無かった。キャリアアップしたいとか、こうやってキャリアをデザインしていこうみたいな考えがぼくにはできなくて。でも、「自分のコア(軸)」と直結してる「何か(=ライフテーマ)」のために動いてる時だけ、自分の能力以上のパフォーマンスを出せた気がする。

安藤
なるほど。

四角
ずっと野球をやってたんだけど、バッターボックスに立ったときに、「よし、ここでヒット打っていいところを見せてやろう」と思った時って打率0割だった。何と、人生で一回もヒットを打てたことがなかったんだ。

ヒットを打てる時って、「チームに貢献するため、試合に勝つためには自分はどうすべきか」と考えて無欲の状態でバッターボックスに入り、気付いたら一塁ベースにいる、みたいな。つまりバッターボックスでの記憶が無い。無心でものすごい集中してる感じというか。

あと、ぼくの場合は、ライフスタイルを大事にしたことかな。っていうと、なんかカッコよく聞こえるかもだけど、ライフスタイルが充実していないと、長い目で見ると必ずどこかで無理がたたり、パフォーマンスは間違いなく下がる。結果、心か体が壊れてしまったりすると、人に多大な迷惑をかけてしまうし、もう仕事どころじゃなくなるよね。

安藤
そうですよね。

四角
夜遅くまで残って、もうちょっと仕事をしたほうがいいかなという時も、体調管理が大事だから早く帰るって決断したり。ちゃんとトレーニングの時間をいれるようにしたり、しっかり有給休暇を使ってぼくにとって大切なNZ旅行を毎年確保したり。

そうやって、ライフスタイルが安定してくると、仕事のパフォーマンスも質も、全てがポジティブに跳ね上がるっていう実感が年々高まっていった。

もし、仕事のために人生の全てを費やしていたら、逆にあんな成果はでなかったんじゃないかと断言できる。

音楽の仕事をしていた頃も、今の仕事も、どうやったら世の中をよくできるんだろう、世の中の流れをよくできるんだろうかって考えるのは変わらない。

自分のライフスタイルとライフテーマ。
この二つを軸にして欲しい、と強く言いたいんだ。キャリアデザインってのは、単なるその結果なんだと思う。ぼくの場合は、その二つを大事にしてきたら、たまたまいいキャリアを築くことができた。

「キャリアデザインのためだけの人生って本当に意味がある?」って、逆説的に考えてみて貰えばわかると思う。

安藤
大輔さんらしいですね。

四角
そうだ、誰にも話してないことがあって。
ぼくがやりたかったNHKでのドキュメンタリー制作と教師の仕事。これは自分のライフテーマが理由と言ったけど。実はライフスタイルも、もう一つの理由だった。

NHKは当時、支局単位で受けられたので、北海道の旭川、釧路、北見という大自然に隣接する3つの支局に絞ってた。教師も、北海道で教員試験を受けるって決めてた。

昔から、フライフィッシングという釣りがぼくの人生にとって最重要で。フライフィッシングがぼくをNZに導いてくれたし、この釣りを中心に人生をデザインしてきたと言っても過言ではない。

〈Model. Daisuke Yosumi / フライフィッシング。ぼくの人生にとっては仕事よりも重要なこと〉

釣りって、自然の奥に入れば入るほど釣れる。例えば、車で5時間走った先で、マウンテンバイクに乗り換えて3時間こぎ、そこから5時間歩いてテントを張ってさらにその奥に入ると、びっくりするほど大きくて美しい野生魚に出会えたりする。

で、北海道には日本で一番、自然が残っていて、その田舎に行けば、まさにそこはフライフィッシング天国なんだよ。

安藤
さすが、徹底的ですね(笑)

四角
どうやったら、フライフィッシングをするのに最高の環境で、ライフスタイルを構築しながら、自分のライフテーマを実現できるんだろうって考えたら、北海道で学校の先生をやるか、NHKの北海道地方支局で働くっていうのが、ぼくにとってのベストプランだった。

そのときから、ライフスタイルとライフテーマを大事にする思考を持っていたんだと思う。今のNZの湖畔を軸にした今の生き方は、その究極の形なんだよね。

フライフィッシングって中毒性が高いから(笑)、人生を棒に振る人が周りにいっぱいいた。そんな釣りの達人の彼らに、仕事のことを聞いても、「まあ、食うために仕事は適当にやってる」って。

これに違和感を感じていた。そういう人たちって、仕事の内容は二の次で時給仕事でもなんでもいいし、家族や健康も犠牲にしていることも多い。でもぼくは、ライフテーマとライフスタイルの両方に挑戦したいと思った。だけどそのときに、キャリアアップや出世という志向は捨てた。

つまり、3つ目の「キャリアや出世」は追わなかったことになる。

安藤
でも、キャリアもついてきましたよね。

四角
そう。これは、野球のバッティングにおけるヒットの話と同じ経験なんだ。

無欲になって働いていたら、出世と高い給与という結果が後からついてきた。けど、自分がこんなキャリアを築けるなんて、想像もしなかった。自分が心から好だと思えるアーティストのために一生懸命になって働いていたら、そのアーティストが売れただけなんだ。

もし仕事やキャリアで悩んでる人がいたら、半日でもいいので完全オフラインの状態になって、まずは自分の内なる声に耳をすましてみて欲しい。「自分はいったい、何のために生まれてきたのか。人生で何を成し遂げたいのか」と。

自分が本当に求めてるライフテーマとライフスタイルは何か、自分の中心部分、つまり心に問うてみて欲しいんだ。

安藤
確かにそうですね。自分自身も、現在のキャリアなんて数年前にはこれっぽっちも思い描いていませんでした。こんな風に働きたい、こんな人生を生きたいと強く願って行動していくうちに、「たまたま」とか「偶然」の連なりで現在の場所にたどり着いた感じがします。

大切なのは、その「こんな~したい、なりたい」ということに素直になることなのでしょうか。「ライフテーマ」と「ライフスタイル」について、私も読者のみなさんと考えていきたいと思います。今日はとても素晴らしいお話を、ありがとうございました。

 

▽シリーズ《安藤美冬が迫る、四角大輔の真実》
第1回:バイトが人生を創る!?
第2回:〝ライフテーマ〟のルーツ
第3回:人生の転機
第4回:本当のキャリアデザイン

本記事は、安藤美冬さんのメールマガジンで配信されたものに、本人による大幅な加筆修正と写真追加がされた〝最新&完全版〟です(当HP掲載|2017.6)

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