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/ ARTICLE 2 Jan 2017

ノマドは目的じゃなく〝手段〟だった。【内なる声を聞き、自分を解放せよ。中編】

Words by Daisuke YOSUMI
Reading Time:19m2s
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▽シリーズ【内なる声を聞き、自分を解放せよ。】
前編:あなたはジブン何%?
中編:ノマドは目的じゃなく〝手段〟だった。
後編:心を再起動して〝真のアーティスト〟に。

--もともと、ニュージーランドと日本を行き来したり、今では世界中を移動しながら生活するようなノマド的なライフスタイルを目指していたのでしょうか?

よく勘違いされるけど、ぼくは「ノマド」になりたかったわけじゃない(笑)。単純に、ニュージーランドの湖に住みたかっただけなんだ。

ニュージーランドに移住して、幼少から大好きだった「湖」の畔で、理想的な自給自足ベースの〝森の生活〟をしようって決めたのは学生時代。当時は、航空券の値段はいまの5~10倍で、インターネットもなかったから、「移住=日本を捨てること」だと覚悟し、親の死に目くらいしか帰国できないと考えていた。

学生時代にいろんなバイトをやったけど、社会に出て会社の社員として働き、評価されるイメージがまったくわかなかった。だから、毎日釣りをして畑を耕す、「ヒッピーか世捨て人」になるって本気で決めていた。

ニュージーランドでそんな暮らしがしたいと話しても、ほとんどが「仕事どうすんの?」「将来のことちゃんと考えてる?」「たいへんじゃない?」っていう反応。

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〈Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

〈01〉
〝思い込み〟から解き放つ。

でも、その後の今日までの約20年間のテクノロジーの急速な進化は見ての通り。

LCC(ローコストキャリア)という格安航空会社が台頭し、世界中にブロードバンドが敷かれ、2008年に『iPhone』と『MacBook Air』が日本でも発売され、国と国を移動しながら生活し、働ける環境が整ってきた。

なのに、ぼく自身の「移動生活を送るなんて無理」という思い込みは、捨てることができなかった。

移住の前年に、ハワイと日本を行き来しながら、バリバリ仕事をしている本田直之さんに出会ったことでぼくの人生にイノベーションが起きた。

初めてお会いした時、「世捨て人なんて。せっかく身に付けた高いスキルと、ものすごい人脈があるのにもったいないよ。両方の国を行き来しながら仕事をしてみな。ダイスケなら必ずできるから」って言ってもらえて、具体的な相談にも乗ってくれた。

それがきっかけで、ぼく自身の思い込みを捨てられて、思考を入れ替えることができたんだ。結局いつも、ぼくらの「心」が目指そうとすること邪魔をするのは、「思い込み」であり「頭=脳」なんだよね。

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〈Photo. Shotaro Kato in NZ〉

〈02〉
すべての始まりは〝人生のルーツ〟。

ぼくの会社って、「Lake Edge Nomad Ltd.(レイクエッジノマド)」っていうんだけど、社名をつけた移住前の2009年当時は、誰も「ノマド」なんて言葉は使ってなかった。

メディアに出る時のプロフィールに、「ニュージーランドと日本を行き来するノマドライフを送る」という一文を面白おかしく入れていたんだけど、必ず「※ノマドライフ=遊牧民のような暮らし」と、おカタい注釈が入れられてた(笑)。

2011年に、本田直之さんが『ノマドライフ』という本を出版されて、2012年くらいからやっと一般認知されて、注釈が不要になったけどね。

繰り返すけど、ぼくはもともと「ノマド」を目指していたわけではない。移住の2年ほど前に本田直之さんに出会ったことがきっかけで、「NZと日本を行ったり来たりしながら仕事できるかも」という、マインドセットがされただけなんだ。

「毎日釣りがしたい」
「湖の畔という〝釣り場〟に暮らしたい」
「そこでナチュラルライフを送りたい」
「そんな生活が可能なニュージーランドに移住したい」

こういった、ぼくにとって〝人生のルーツ〟とも言える夢を実現するために前進を続けていたら、テクノロジーの恩恵を受けて、たまたまいま、ノマド的な移動生活を送っているだけなんだ。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉

「ノマド」っていう言葉が流行ったとき、「ノマドになりたい」っていう人が増えたみたいだけど、何度も言っているように、もっとも大切なのは「自分は何をしたい?」「どういう状態が幸せ?」「どういうライフスタイルを送りたいか?」といった、自分の内なる声が〝本当に望む在り方〟を実現すること。

それを形にするための「手段」は、起業でも、就職でも、ノマドでも何でもいい。バイトだっていい。

職業や会社や働き方はあくまで「乗り物」、それに乗って向かうべき「目的地=ライフテーマや人生のビジョン」をまず持って欲しいんだ。

--四角さんのようにノマドを目指している学生がいるかもしれません。そんな学生にアドバイスを頂けますか?

ノマドにもいろいろあるよね。

オフィスを持たず街のカフェからカフェへ移動をするいわゆる「ノマドワーカー」から、国内で都市部と田舎を移動するスタイルの人もいれば、高城剛さんや本田直之さん、そしてぼくみたいな「グローバルノマド」と言われる、国境を越えて移動生活を送るタイプもいる。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in Turkey〉

〈03〉
〝心〟が向かう方角へ進め。

どうすれば「グローバルノマド」になれるのか、とよく相談される。また同じようなことを言うけれど、当然、一番最初にすべきことは「好きな場所や住みたい街を見つけること」。

ノマドは「目的」じゃなくて、あくまで「手段」。

本田直之さんもノマドを目指していたわけではなく、恋い焦がれるほどハワイが大好きで、いつかハワイに住みたいという強い想いを持つことからすべてを始めただけなんだ。

そしてぼくと同じく15年もかけて、ハワイへの移住を果たし、徐々に日本を行き来しながら世界中で移動生活を送る、いまのノマド的なライフスタイルを送られるようになった。

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〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in Yakushima〉

--実際、自然豊かなニュージーランドでの生活が実現して、生活に大変なことはありませんでしたか?

ぼくのトークライブでは、ニュージーランドでの暮らしがわかるキレイな写真をたくさんスライドに入れるんだけど、それだけを見て「こういうところで暮らしてみたい」っていう反応する人はすごく多い。

空も湖面もすべて真っ赤になった朝焼け、庭で自生しているハーブ、釣りをしている姿、自作のオーガニック・スムージーなどの写真とか、いい部分だけを見ると確かにそう感じるかもしれない。

だけど、ニュージーランドの電力は約80%が再生可能エネルギー(もちろん原発はない)な上に、うちは森の中だから停電が多いんだ。

すごい田舎の、さらに原生林に囲まれた湖に暮らしているから、当然ケータイは圏外、水道は通っていなくて、コンビニなんてないし、スーパーまで20kmも離れている。

風が強い日には木や枝で、大雨の時は土砂で道が塞がってしまうなど、不便もいっぱいある。

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〈Photo. Shotaro Kato from Daisuke’s house in NZ〉

〈04〉
〝地球人〟として生きる。

だけど、夜明けは無数の野鳥たちのオーケストラで、ベランダにはフクロウがやってくるし、星空は眩しいくらいに美しい。

湖の湧き水を汲み上げた純度100%のミネラルウォーターを飲み、自分で釣った新鮮な野生魚と、自生しているハーブや果物、自分で育てた無農薬野菜やフルーツを食べる。

つまり、不便を含めてこれが、ぼくにとっては最高のライフスタイル。

もちろん大変なことはいっぱいある。

でも、大量生産・大量消費ありきのマネー至上主義経済や、地球環境をひどく傷つけている大都市空間から少し距離を置く暮らし。〝循環的&低消費〟な森の生活は、ノイズに邪魔されずに自分らしく生きるための「表現行為」でもあるんだ。

究極的に言うと、大企業や中央集権制度、巨大な資本主義システムに対して、なるべくインディペンデントでいたいと思っている。

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〈Photo. Taiga Beppu / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

この森の生活によって、体と心は驚くほど健康になり、〝地球で生きる人間〟として「何が正しくて、何が間違っているのか?」がより鮮明に見えるようになってきた。ノイズレスな環境のおかげで、集中力が研ぎ澄まされるようになり、自分の本当の心の声をより拾えるようになったんだ。

その結果、レコード会社プロデューサー時代よりも、自分自身のクリエイティビティが格段と高まった。

これが一番の喜びなんだ。

--今の学生たちは、就活自体が自分探しになっているような気もします・・・・。そのことについてどう思われますか?

就職活動のタイミングで何をしたいかが明確になっていないのは、当然だと思う。

20歳前後で、自分自身を完全に把握し、自分が歩むべき道が見えている人なんてまずいないはず。

若くしてやりたいことがハッキリしていて、20歳そこそこで実際にその仕事に就けている人なんて、イチロー選手みたいな、10万人に一人くらいの選ばれた存在だけ。

そもそも今の時代、新卒で入った会社に一生勤める人なんて、もうほとんどいない。

強く言いたいのは「就職活動で一生が決まってしまう」といった間違った思い込みを捨てて、自分を追い込み過ぎないで欲しいということ。

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〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

〈05〉
シンプルに〝ただ愚直に〟目の前のことを。

もう一つ重要なのは、「正社員」にこだわりすぎないこと。

レコード会社でプロデューサーをしていた時、ぼくの周りで一線級の活躍をしていた人の多くが

「新卒の正社員枠」という、いわゆる〝正規ルート〟ではなく、アルバイトから上がってきた人や、まったく異業種からの転職組だった。

つまり〝非正規ルート〟なんだ。

彼らに共通していたのは、人が嫌がる雑務でも、退屈なルーティンでも、一生懸命に取り組んでいたこと。

そして、新たな創意工夫ができないか、より効率化できないかを、誰よりも考え尽くしていた。

つまり、「この仕事をやりたいんだ!」という高いモチベーションを持って常に行動していたんだ。

そんな姿を見た先輩達が、少しづつ少しづつ、彼らにチャンスを手渡していった。ぼくも同様に、後輩達にチャンスを提供してきた。

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〈Photo. Taiga Beppu in Denmark〉

もし「この会社(この業界)」に絶対に入りたい、自分にしかできない仕事をしたい、と心の底から確信できているのなら、仮に就職活動で落とされても、バイト、派遣、インターン、タダ働き!など〝非正規ルート〟はいくらでもある。そして、そのチャンスを生かせるかどうかはその人次第。

どんな形でもいいから、そこに潜り込んで欲しい。その気迫があって継続的な努力さえできれば、必ずチャンスはやってくるから。最初から本当にやりたいことに就ける人なんてほとんどいないんだから。

まずは考え過ぎないで、シンプルに愚直になって、目の前のこと、与えられたことに全力で集中して欲しいんだ。

そうすることで、「やりたいこと」は自分で引き寄せられるものだと思う。そういうことをやり続けられる人こそが〝運〟さえも引き寄せるのだと思うよ。

それに、自分探しではなく〝自分デザイン〟。つまり自分を創ることだと意識を変えて欲しい。

そして、自分を創る行為は、就職活動タイミングから突然始めるものじゃない。

ある意味、〝自分デザインは生まれた瞬間から始まっている〟はず。

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〈Photo. Taiga Beppu in NZ〉

〈06〉
〝小さな選択〟こそが自分を創る。

そして、社会に出て働くという行為は、自分創りをより深く加速させることを意味する。

人生そのものが〝自分をデザインし続ける行為〟だから。
つまり「Life is Art」ということなんだと思う。

それと、自分創りには社会における「居場所探し」が重要だと考えている。就職活動とはそのための最初の第一歩だとぼくは思っている。

--自己PRに関して、四角さんの持論について教えて頂けますか?

たとえば家を出る前、「今日はどんな服を着よう、髪型どうしよう」って誰もが考える。

これも立派な自己PR。

こういう話をすると、「いや、俺はオシャレとかはよくわからないから」っていう学生が出てくる。

でも、選んだ理由って必ずあるはず。着心地がいいから、気分的にこの色だ、雨が降りそうだからとか、必ず大小さまざまな理由があって選択してる。

そういう小さな選択の一つ一つが集まり、結合して「自分を正しく表現する活動」につながるんだ。

つまりそれが自己PR。ぼくは、自己PRはセルフブランディングと同義語だと思ってる。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉

〈07〉
自分を〝大きく見せる〟ための言葉は捨てる。

自己PR、自己表現、セルフブランディングって言われると、賢そうな言葉や難しい技術を使って、なにかスゴいアピールをしなくちゃいけない、と誤解している人が多いけど、そうじゃない。

普段使い慣れていない言葉を使って、他人から聞いた話をしても、聞く人には全く伝わらないよね。

だから、〝半径1.5メートル以内の言葉〟。

つまり手の届く範囲内の言葉だけを使うようにして欲しいんだ。

つまり、誰かが言ったことや、本に書いてたことや、ネットで拾った言葉などではなく、「自分の体験ベース」のことだけを、手の届く範囲の言葉だけを駆使して表現せよ、ということね。

自己PRやセルフブランディングの本当の意味は、〝ありのままの自分をちゃんと表現する〟ということだからね。

だって、自分を正しく伝えること自体がとても難しくて、ほとんどの人ができていないんだから。そう考えると、自分を大きく見せようとする行為って、まったく無意味だとわかるよね。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉

ぼく自身も、講義や著書では、難しい言葉は一切使わないようにしてる。

ぼくが経験したこと、その経験を通じて感じたことを、なるべく平易な言葉を駆使して、できるだけリアルに伝わるようにしたいと思っているんだ。

英語でも、“make”とか “get ”のような中学1年生レベルの単語で、かなり多くのことが表現できる。

日本語も同じ。

体験したことをしっかり自分の体に刻み込み、体の一部にし、「心から伝えたい」という本気の思いをもってさえいれば、普段使って体に染み込んでいる言葉だけで十分伝えられるんだ。

--たしかに四角さんの話すことはシンプルでわかりやすいです。人って難しい単語やアカデミックなワードを聞くだけで、この人すごいっていう圧倒されますよね。

多くの人の心に届く言葉ってシンプルだよね。

たとえば、スティーブ・ジョブズのプレゼンや、オバマ大統領のスピーチって、実はとてもわかりやすい。

TEDの一流のスピーカーたちが使う言葉や言い回しもすごくシンプル。

難しい単語を勉強して、アカデミックな手法でプレゼンことがカッコいいと思われがちだけど、それって人を煙に巻いているだけで、ちっとも伝わっていない。

自分を大きく見せるための、難解な単語や大仰な表現は必要ないんだ。

▽シリーズ【内なる声を聞き、自分を解放せよ。】
前編:あなたはジブン何%?
中編:ノマドは目的じゃなく〝手段〟だった。
後編:心を再起動して〝真のアーティスト〟に。

本記事は、ReLIfe掲載の記事に、大幅な加筆修正と再編集を加えた完全版です。(当サイト掲載|2017年1月2日)

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