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/ ARTICLE 1 Jan 2017

あなたはジブン何%?【内なる声を聞き、自分を解放せよ。前編】

Words by Daisuke YOSUMI
Reading Time:15m58s
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▽シリーズ【内なる声を聞き、自分を解放せよ。】
前編:あなたはジブン何%?
中編:ノマドは目的じゃなく〝手段〟だった。
後編:心を再起動して〝真のアーティスト〟に。

--四角さんは、レコード会社プロデューサーとして多くのアーティストをブレイクさせてきました。しかし、そんな四角さんもかなりのコンプレックスを抱えられていたそうですが、どのように克服されたのですか。

ぼくは小さい頃から集団行動が苦手で。

それでもがんばって周りに合わせるようにしたり、人前に立ったりすると極度に緊張し、ひどい赤面症や軽いチック症が出たり。

それが小学生から大学に入るまでずっと続いていて、一番のコンプレックスだった。

〝自分を見張っているもう一人の自分〟
みたいな存在にいつも縛られているような脅迫感があったんだ。

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〈Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

〈01〉
〝ジブン見張り番〟から自分を解放する。

でも20代後半の頃、一つのことがきっかけで初めて、克服できそうになるきっかけに遭遇したんだ。本当に少しだけね。でも後から考えると、それがぼくにとっては大きな第一歩だった。

入社3年目でまだ駆け出しの頃、その歌声と人間性に心から惚れ込み、当時アシスタントプロデューサーとして担当していた平井堅の魅力を、なんとか周りに伝えたくて。
ハウツー本を読んだり、プロの講演を観たり、プレゼンの訓練したりと、知恵熱が出るほどいろんな形で勉強したのに、まったくダメだった。

でもある日、プロモーションに来ていたラジオ局で、気がついたら我を忘れて一生懸命、平井堅のことを語っている自分がいた。言葉は拙いし、プレゼンなんて言えないくらいで。技術は恥ずかしいくらい低レベル。

でも自分の心にスイッチが入り、無意識のうちに熱く語っていた。その直後、「自分はダメなヤツだ」と自分で自分を縛りつけていたことに気付いたんだ。

そうやって、自分の〝心の縛り〟から自由になれたあと、次はプレゼン上手な先輩の言葉使いや話し方を真似したり、「お前は話が長すぎる」とアドバイスをもらって、できる限りコンパクトに話すように心がけるように。そしたら、本当に少しずつ少しずつだけど、何年もかけてマシになっていった。

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〈Photo. Toshizo Fujiwara / Model. Daisuke Yosumi in Hokkaido〉

この体験から、「心」が起動してないのに、「頭」だけを先に鍛えても意味がないと痛感。いま思うと、夢中になったあの瞬間ぼくは〝アーティスト状態〟に入っていたんだと思う。

〝アーティスト状態〟とは、ぼくが創った概念で「大好きなことに夢中になって、ものすごい高いレベルで集中している状態」を意味する言葉。

そういう状態にさえなれば、どんな人間でも〝特別な力〟が引き出されるんだ。

--学生時代を振り返って、これだけは言える「強み」というのはありましたか?

ぼくの場合は釣り。
これは、幼少のころからぼくの人生の中心にあった、ぼくにとってはライフワークのようなもの。

「えっ!釣り?」って思うかもしれないけど、新卒で入った、面接が難攻不落で有名だったソニーミュージックの面接では釣りの話しかしてない(笑)。

さっきも話したように、当時はまだ赤面症で、人前で話すのは苦手。
でも、大好きな釣りのことだけは誰にも負けないくらい10年以上熱中してきたし、いつも周りに語ってきていた。

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〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

〈02〉
〝アーティスト状態〟になるために。

就職活動で突然「自分をアピールせよ」って言われて、人によっては、焦って「ネタになりそうなこと」を探したり、「自己PR出来そうな活動」を慌てて始めるけど、そういう浅いアピールはまったく無駄で、通用しない。

ぼくもレコード会社時代に面接官をやってたから断言できる。とってつけたような体験やストーリーは、面接官に全部バレる。こっちはプロだからね。

サークルの部長をしていたとか、ボランティアで社会貢献をしていたとか、そういった〝わかりやすく立派な事実〟を並べたてても、それだけじゃ何も伝わらない。

その体験から「何を感じたか」。
それが「自分の人生にどんな影響を与えたか」。

この2点について深く、かつ簡潔に語れないと意味がない。

本当の「強み」とは、自分が心の底から〝アーティスト状態になれること〟と、〝人生のルーツにつながること〟にしか存在しないんだ。

その2点をクリアしていれば、一般的に面接で役に立ちそうもない「こんな稚拙なことが?」と思うようなことでも武器になる。それがぼくの場合、ただの釣りだったんだから(笑)。
学生時代にやって欲しいのは、自分の〝好きなこと何か一つ〟を徹底的に極めること。好きな事だからのめりこめるし、没頭できる。そうすると、誰もが驚くほど高い集中力と能力を発揮できる。

結果、あなたが本来持っている創造性と独創性が、最大限まで引き出されることになる。

つまり、その一つのことに関して〝アーティスト状態〟になって欲しいということ。あなたの「強み」につながるのは、そういうことしかないんだ。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉

〈03〉
〝頭脳〟は単なる便利ツールにすぎない。

そして、ぼくが次にやったのは、その「独自の強み(=釣り)」を他人に伝えるための練習。

それまでは釣りに関しては、「何よりも楽しいから好き!やりたい!」という感じで、夢中になって「心」で活動してきた。だから、ここで初めて冷静になって「頭」を使うんだ。

ポイントは、「そのテーマにまったく興味がない人」にも簡潔にわかりやすく、かつおもしろく伝えること。そのためにはなるべくシンプルな言葉で、短時間で伝えることが大切。

そのためにぼくは、頭痛がするくらいトレーニングした。

隙あらば、恋人、友だち、バイト先の大人、同じ授業をとる顔見知りなどを相手に語る練習をしていた。相手には悟られないようにね(笑)。

そうしているうちに、どんな面接官に対しても、いつもと同じようなテンションで、コンパクトに語れるようになっていった。

まとめると、まず〝自分の心や人生の深い部分とつながること〟を見つけて、アーティスト状態になってそれを極める。そして、それを誰にでもわかるシンプルな言葉で、短時間で語れるスキルを身に付ける。

しつこく繰り返すけれど「心」が最初で、次に「頭」。
この順番は絶対だ。

この〝2段階〟を経て、初めてあなたの強みが〝絶対的な武器〟になるんだ。

--なぜ、四角さんは誰もがうらやましむようなプロデューサー業を辞めて、ニュージーランド移住に踏み出せたのでしょうか。

ニュージーランド移住は、学生時代からの15年来の夢だった。
永住権を取るためには、様々な苦労とハードルがあり、本当に大変だった。

だから、やっと永住権が取れる!となった時、会社を辞めることへの躊躇はまったくなかった。

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〈Photo. Taiga Beppu in NZ〉

〈04〉
〝キャリア絶頂期〟を捨てられた理由。

ぼくが退社した2009年はたまたま、担当していたアーティスト2組(絢香とSuperfly)が、女性アルバム売り上げ年間ランキングで1位、2位を独占したこともあり、会社から強い引き止めがあったり、ヘッドハンティングの打診があった。

「なんでそんな絶頂期に辞めるの?」という声もたくさんあがった。

たしかに、仕事での成功や地位、収入や安定といった、マネー至上主義的というか前時代的な価値基準でみると、ぼくの「移住」という判断は理解不能だったかもしれない。

でもぼくは、シンプルに自分の心の声に従っただけ。

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〈Photo. Shotaro Kato / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

さっきの「本来無一物」の話にも通じるんだけど、お金や地位といった、そんな「バブル」のようにはかない、お墓に持っていけないものよりも、長年の夢を優先したかっただけなんだ。

日本では、キャリアデザインが最重要とされるけど、実は、それって自分が理想とするライフスタイルをデザインするための1項目、単なる手段にすぎないはず。

それがいつの間にか順番が逆転し、「家族よりも仕事、自分の時間よりも仕事、体と心を壊してまでも仕事」と、仕事のために生きる人生になってしまうんだよね。

仕事やキャリアは、あくまで、自身のライフスタイルをデザインするために〝必要な道具〟と考えるのが本来のはず。

レコード会社時代の仕事はもちろんやりがいがあったし、素晴らしいアーティストやクリエイターたちと働くことはとても刺激的だった。そして、そのすべての仕事がぼくの表現であり、作品だったと思う。

でも、ぼくの本当の表現活動が始まったのは、ニュージーランドに移住してから。

つまり、移住した年、39歳からが〝四角大輔の人生の本番スタート〟だったと改めていま実感している。

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〈Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

15年間のレコード会社でのぼくは「仮の姿」とまでは言わないけれど、あくまで社会で生きるためのベーシックスキルの習得期間であり、誰にも負けない強みを磨く時期であり、いまの表現活動につながる〝壮大なインプット作業〟だったと思っていたし、今もそう確信している。

そして移住後、日々どんどん自分らしさを取り戻せている。それに伴い必要な情報や、本当に心からつながれるような仲間との出会いも加速しているんだ。

--荷物を背負い過ぎるとノイズに負けてしまう、とおっしゃってましたが、このノイズに負けないようにする方法は何がありますか?

まず、欲張りすぎないこと。

いまはノイズジャングルの時代。
モノも情報も溢れかえっているから、あれもこれもと欲しがったり、手を出していると、あっという間にパンクして、自分を失ってしまう。

つまり、ジブン自身が空洞化してしまい、自分じゃなくなってしまうんだ。これって死ぬよりも怖くない?

不要な情報やモノは「ノイズ」だと捉え、捨てることを意識して生活していないと、気づかないうちに異常な量の荷物を背負ってしまう。

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〈Photo. Taiga Beppu in NZ〉

〈05〉
心の声を優先して自ら〝降格〟を申し出る。

あとは、とにかく自分の「心の真ん中」にちゃんとアクセスし続けること。

欲しいと思っていることや、大事にしようとしていることが、「本当に自分の心の底から望んでいるものなのか?」「メディアや広告、周りの声や流行などに洗脳された頭が作り出している、ニセの欲ではないか?」と、ちゃんと心に問うて欲しいんだ。

その欲望が本物かどうか、その真偽を疑う習慣を身に付けることが大切なんだ。

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〈Photo. Taiga Beppu / Model. Daisuke Yosumi in NZ〉

レコード会社時代こんなことがあった。

ソニー・ミュージック時代の実績が認められ、ワーナー・ミュージックにヘッドハンティングされた時、最初はぼくより年上ばかりのプロデューサーが30人ほどいる部署の「部長」という管理職で入った。

だけど、ぼくはいわゆる「偉い人」になりたかったわけじゃない。

そもそも、音楽アーティストのプロデュースは得意だったけど、人のマネジメントは得意じゃなかったし、管理職なんて務まる人間じゃなかった。

そしてなにより、現場で、大好きなアーティストの隣で仕事をしたかったから、「降格」を申し出たんだ。不祥事を起こしたわけじゃないのに、降格なんて出来ないって、最初は会社から拒絶され。

「前代未聞だ」と、ちょっとした騒動になって(笑)。時間がかかったけど無事に降格が認められ。

現場でのプロデュースに復帰できることになって、最初に出会ったのが絢香。そして次に、Superflyに出会った。

つまり、降格を申し出たことが結果として、ぼくの人生のアップグレードにつながったんだ。

彼女たちとの仕事は忘れがたい思い出であり、ぼくにとってはすべてのワークが宝物のような作品。魂が震えるような体験とインプットをもたらしてくれた彼女たちには、心から感謝している。

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〈Photo. Daisuke Yosumi in NZ〉

「社会的に見てどうか」とか「他人にどう思われるか?」みたいな、周りの評価を基準とする生き方ではなく。
「自分にとってどう?」「心は何と叫んでいる?」「人生で何を求める?」といった、自分の〝本来の在り方〟を軸にして、ぼくらは生きるべきなはず。人生は、何の恩義もないような他人のものではなく、自分のものなんだから。

どんな結果になっても、きっとそれこそが〝正解〟なのだと思うから。

そうすることで、不要な荷物を背負わずに済むし、ノイズに負けない、自分の人生をデザインすることができると信じている。

▽シリーズ【内なる声を聞き、自分を解放せよ。】
前編:あなたはジブン何%?
中編:ノマドは目的じゃなく〝手段〟だった。
後編:心を再起動して〝真のアーティスト〟に。

本記事は、ReLIfe掲載の記事に、大幅な加筆修正と再編集を加えた完全版です。(当サイト掲載|2017年1月1日)

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